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@kanibeam_jp

自転車メッセンジャーやってます

メッセンジャー文化とかメッセンジャーバッグについて

これは結構難しい話なんですが、メッセンジャーって仕事を1年やってみて感じたことをいくつか。
あ、自分が肌で感じたものしか書けないので、あくまで個人的な感想になるんですが…
 
まずざっくばらんに言えば、メッセンジャー文化はおおむねヒッピー的です。
要素としては反体制反エネルギー消費反資本主義って感じですね。
ヒッピーやヒップスターについては詳しいわけではないのであまり深い言及はできないのですが…
 
「俺はスーツは着たくない」とか、「好きなことだけやって生きたい」といってメッセンジャーを選んだ人も少なくないです。最低限の接客スキルだけあれば一日中外で体を動かして稼げるのであまり「会社の色」だとか「社会の色」に染まらずにいられる仕事ですね。この辺がヒッピー的な反体制性を孕んでいるのかなと思います。世の中をどうにかしてやろうというよりは、「俺は流されないぜ」っていう内向きの反体制ですけど。
 
また反エネルギー消費ですが、これは具体的には自動車です。特に日本の道路は自転車の走るところがありませんから、危ない目に合う場面も少なくはありません。メッセンジャー同士で飲み会なんかしていると、「自動車うぜーよな」とか「こんな危ない目にあったよ」とか「タクシー会社は滅びろ」とかそんな話がチラホラ出てきます。メッセンジャーに限らず、日常的に自転車に乗っている人はそれなりに交通ってものに対して多少の問題意識はあるんじゃないでしょうか?他国のことは分からないけど、個人的には少なくとも日本の道路交通は自動車偏重なところはあるよなぁと思います。(この話題はまた改めて…)こういうところからエネルギー消費に対して疑問を抱いているメッセンジャーは少なくないんじゃないかと思いますね。
 
「大量生産・大量消費社会に疑問がある」とか言うとカッコいいですが…メッセンジャーは純粋にカネが無いからですね。カネがないので、同じフレームの自転車を本当にぶっ壊れて動かなくなるまでずーーーっと乗り続けます。でもそれがメッセンジャーらしさというか、メッセンジャー的なカッコよさなのかなとも思います。ボロボロのピストに使い潰されたバッグってのがメッセンジャー的なのかな。
 
そういう「道具でどうにもできないから自分が適応するぜ」っていう肉体的精神的なタフさだとか、仕事のために消費するエネルギーが少ないこと、意識してかせずかどこかミニマリズムにも通じる侍のような潔さがメッセンジャーのカッコよさであり、その象徴がメッセンジャーバッグなんだと思います。
 
日本語で読めるメッセンジャーバッグの資料でひとまとまりになってるのはmessengerbag.jpにあるのでここでは割愛しますが、震災後の自転車人口の増加に伴いメッセンジャーバッグも随分町中で見かけるようになったと思います。5年前はW-baseやBLUE LUGに出没していた一部の若いピスト乗りがRESISTANTやCHROMEを背負っていて(当時、CHROMEは意外と背負ってる人数も多くなくてCHROME使いはちょっとイケてる印象でした…)、Y’sあたりに出入りしてた人がTimbuk2らへんを使っていたイメージですね。今はシングルスピード・ギア付き共に台数も随分増えましたし、いわゆる「サードウェーブ男子」がCHROMEのYALTAやUniあたりを背負ってキレイな格好で街を流しているのもよく見かけます。以前に比べてメッセンジャーバッグメッセンジャーのもつ「ワルっぽさ」が抜けてきたというのもありますね。
 
うっかり思い出話になりましたが、メッセンジャーのもつ「禅」っぽさとかヒッピー的なカッコよさが雑誌やネットで取り上げられて、ファッションのスタイルというかニュアンスとして定着したのかなと感じます。正直、現場で走ってると「そんな良いもんじゃないよ…」と思う瞬間も無いではないのですが、それでもそういうメッセンジャー業界や自転車業界の方々の努力のおかげで、自分みたいな学のない単なるド肉体労働者が「メッセンジャー」という言葉に隠れていいカッコさせて貰ってるっていうのはありがたいことだなとも思います。
 
カフェ店員とか服屋の店員なんかもそうだとは思うんですが、当然華やかな場面だけじゃなくメッセンジャーでいえば「もうヘットヘトでこの坂登れまへん…」って場面だったり警備員に邪険に扱われたりという地味〜でイヤ〜な場面もあるし、やっぱりメチャクチャ稼げる仕事ではなく経費もかかるので(特に自分は)基本的に常にカネに困ってる印象でもあります。
 
情報の受け手、の問題だと思うんですよね多分。
当然雑誌だとかネットでそういう華やかな仕事の負の場面を流すわけがないし、それが悪いことではないと思います(自分もそういう風潮の中で助けられてる部分がありますし)。だからそういう「メッセンジャースタイル」だとか「カフェ店員のスタイル」として記事で取り上げられたものを受け手がどこまで取り入れるかなのかな。警察官はカッコいいけど警察官に憧れて警察官じゃないのに警察のカッコしてるオタクの人ってカッコ良くないでしょ。そういうことなんだと思います。いいとこだけサラッと取り入れられるとカッコいいわけですよね。
 
オチを見失ったので今回はこの辺でやめときます。